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どつぷり首まで浸かつてしまい 僕は 何処にもいけません |
# by khem_mark | 2006-01-01 01:39
# by khem_mark | 2005-08-13 02:19
駅 構内。 僕 ポケットの中の小ゴミ 捨てようと近づいたゴミ箱 先客が居て。 妙齢の女性 右手に握り締めた何か 捨てよか捨てまいか そんな素振りを何度かしたけど結局捨てて どこかへ立ち去り居なくなり。 その後すぐ 僕 ポケットの中 飴の包み紙とか まとめて掴んで握りこぶし ゴミ箱の中に突っ込んだ時 回転するゴミ箱蓋の軸 差し込む外光 キラリと光る金属反射 ん? なんだこりゃ 不躾ながらも僕 ゴミ箱の中から拾って摘み上げたそれは 鍵。 まだ生暖かい人肌 体温の名残があるってことは つい今しがた捨てられたってこと。 さっきの女性が捨てたのかなあ でも 鍵って捨てるもんじゃないし 第一どこの鍵だろう 鍵に付いてる金属製のタグには『○○○口 0068番』と刻まれていて ああ こりゃ この駅のコインロッカーの鍵じゃあないか。 まったく。 こういう公共のものを捨てるなんて なんて酷い人だ。 文句の一つもつけてやりたかったけれども さっきの女性の姿はとうになく しょうがないなあ。 本当ならば 駅員さんにソレを云えばよいものを 僕 いらないことに首を突っ込んだ。 この捨てられたコインロッカーの鍵 捨てなきゃいけない理由ってのは なんだ 鍵をかけたってことは ロッカーの中に何かを入れて 鍵を捨てたってことは ロッカーの中のものが要らないってことで 要らないんなら普通に捨てればいいだけのこと それをわざわざロッカーの中に入れ その鍵を捨てるなんてワンクッション置いた遣り方は どうにも理解しがたい。 理解しがたいのなら 確かめてみたらいいんだよ。 ってなわけで タグに刻まれた番号のコインロッカーを前にしてしばし熟考。 いったい何が入っているものか。 手元には置いておけないけれども 捨てるには人目をはばかるような そんなもの。 遺影 位牌 遺骨 などの 処分に困るもの もしくは 望まずして生まれてしまった 赤ん坊。 赤ん坊だったら 厭だなあ だとしたらあの女性は ロッカーの中に放置された赤子が死ぬかもしれないってことを承知の上で 鍵を捨てたんだモノ。 いやいや 逆に 死ぬかもしれない じゃなくて 死んでいるから かなあ ロッカーの中に入っているのが 死んだ赤ん坊 だったら すごくへこんでしまう。 死んでいなくても ヘンなもの 中に居たら厭だよなあ もしかしたら いらなくなったペットを捨てたのかもしれない 開けたとたんに凶暴な犬や猫や蜥蜴が飛び出てくるかもしれない もし中に入ってるのがワニガメだったら一大事 指を噛み千切られてしまう! まあ そんな訳などないと思うのでありますが ここは開ける前の要用心。 ちょいと強めのノックなどをして 反応を見てみるが上策。 ノックの音に反応して 音なり鳴き声なり泣き声などがあったら生き物が入ってるって事ですよ。 その場合は速やかに駅員さんに連絡すればいいし。 じゃあ いきますよ コン ココン コココン 三度 小刻みなノックの後。 『ど う ぞ ー』 確かに聞こえた しゃがれ声 野太い中年風の声 小型コインロッカー 扉の内側。 # by khem_mark | 2005-08-12 04:31
7がつ 22にち きょうから夏休みなので しゅくだいのかんさつにっきをつけたいと思います。 だいきくんはカブト虫のかんさつをするというし みさきちゃんはアサガオのかんさつをするといいます。 ぼくは まだなにをかんさつするか きまってません。 しかたないので ぼくのいえのにわの木のところにいたイモ虫をつかまえて かんさつにっきをつけることにしました。 7がつ 23にち きのうつかまえたイモ虫のことをかきます。 色は白くて大きさは3センチくらい あんまりおおきくありません。 ときどき ちいさくヂーヂーとなきます。 ずかんでしらべたけれど このイモ虫が なんのよう虫なのかはわかりませんでした。 7がつ 24にち イモ虫が なにをたべるかわかりました。 つかまえたとき にわのくさをはこの中に入れておいたけれど たべませんでした。 モンシロチョウのよう虫はキャベツをたべるので お母さんからキャベツをもらってはこの中にいれてみると もしゃもしゃたべだしました。 でも このイモ虫は モンシロチョウのよう虫ではありません。 7がつ 25にち イモ虫が キャベツをたべなくなりました。 きのうはあんなにたべたのに。 おなかがいっぱいなのかなあとおもったけれど かおを上げてヂーヂーちいさいなきごえをあげてるの でおなかがすいているんだとおもいます。 べつのやさいだとどうかなあ とおもって れいぞうこの中のやさいをなんこか入れてみると けっこう なんでもたべます。 トマトとか キュウリとか たべています。 7がつ 26にち イモ虫は なんでもたべます。 きょう パンやにくをたべることもわかりました。 サンドイッチを はこの中にまちがえておとしたら すごい早さでモシャモシャたべだしたのです。 ソーセイジやトンカツもたべます。 やさいよりもにくのがすきのようで やさいをあんまりたべなくなりました。 7がつ 27にち にくをたべるようになって イモ虫のせいちょうがすごいです。 きのうよりも1センチも大きくなっていました。 エサをあげればあげるだけ ぜんぶたべてしまうのでおもしろいです。 7がつ 28にち イモ虫が また大きくなってます。 見るたびにどんどん大きくなってるきがします。 きのうのよる はこに入れてたぎょにくソーセージが まるごとなくなってたのでびっくりしました。 7がつ 29にち イモ虫は エサをたべたらたべたぶんだけ 大きくなってるようです。 きょう 大きさをはかったら 15センチにもなっていました。 このイモ虫が大きくなって なんになるのか たのしみです。 7がつ 30にち イモ虫が大きくなると なきごえも大きくなりました。 ヂーヂーいってたのが ヂーキュルキュルヂーキュルキュルって ヘンななきごえです。 イモ虫は きのうよりも大きくなって もうすぐ20センチになりそうです。 どれくらい大きくなるのかなあ。 7がつ 31にち イモ虫が エサをあげにいくたび キュルキュルキュルキュルなきごえをあげています。 なんか ボクのほうをみて すごいです。 キュルキュルキュルキュルって なんかビデオの早まわししてるときのこえみたいです。 『おキュルろキュルキュルれキュルキュルキュルキュルすキュル』ってきこえます。 きょうもイモ虫はエサをたくさんたべて おおきくなりました。 はこがだいぶ小さくなってきたので お父さんにいって 大きな水そうをかってもらわないといけないかなあ。 よる ねるまえに はこの中にベーコンを一かたまりいれておきました。 あしたにはぜんぶたべてるとおもいます。 7がつ 32にち あさ イモ虫にエサをあげようと はこのところにいくと 大きくなったイモ虫が からだをのりあげ 大きくなったイモ虫が 手足のないからだを ねじまげ もたれ のりあがって はこのそとに かお。 そのかおをボクにむけ キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル と早まわしに何かをいって キュルキュルキュルキュル キュルキュルキュルキュル 聴き取れないような でも なんどか聴いたら耳がなれて 聴き取れるような そんな早さの早口言葉 キュルキュルキュルキュル キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル キュルキュルキュルキュル おキュルキュルんだキュル キュルのキュルキュルれ りキュルキュルキュルキュル たキュルキュル イモ虫の唇の動きと キュルキュルキュルキュル が噛み合って ボクの頭の中で言葉が連なり意味を成し ああ 手足のないイモムシが云っているのは 手足のもぎ取られた人形みたいなイモ虫が喋っている言葉は。 『おまえ 日本人だろ。 俺の話を聞いてくれ! 俺は立教大学3回生の○○だ。 助けてくれ!』 その後 立教大学の○○について調べてみると。 確かに今年立教大学の学生が中国に一人旅に行き 行方不明になっているそうです。 両親も捜索願をだしているとか。 # by khem_mark | 2005-07-22 13:14
here and there vol.023 に 短いお話をかいています
# by khem_mark | 2005-07-13 04:12
ミドリさん15才は 僕んちの近所に住んでいる親類の娘さんです。 僕 今日は仕事が休みであったので ミドリさんちに手土産もって 遊びに行ったのです。 遊びに行った ってのは名目上に便宜的。 本当は ミドリさんに謝りに行ったのですよ。 こないだ 本当ならば休みの日 ミドリさんと水族館に行く約束をしていたのでありましたが急に入った仕事の都合のため どうしても休むことかなわず結果的にすっぽかしてしまい。 以来 ミドリさんから口をきいてもらえないのであります。 ここは早めに手をうっとかないとなあ と ミドリさんの大好物 毛蟹を手土産でここはどうぞひとつ よろしくおねがいしたい。 緊張顔でドアのチャイム お出迎えはミドリさんで(今日はミドリさんが一人で留守番ってのは事前にリサーチ済みでありますよ) 何の話も聞かれずに追い返されるかもと危惧しておりましたが 「ふん あがったら?」 とミドリさん 自分の部屋まで通してくれて。 やあ これは幸先がいい 部屋まで上がったらこっちのものです 「で 何の用?」 え あ すいません こないだ 不本意とはいえ約束をやぶってしまって。 あんなに水族館 楽しみにしてたってのに 「本当に。 わたし 白熊が見たかったのに。 楽しみにしてたのに」 ごめんなさい 今度は 必ず 絶対 休みを取るから 一緒に水族館に行きましょうよ そして白熊をみましょう あ あの これ お詫びといってはなんですが ミドリさん 毛蟹 好きでしたよね 贔屓の魚屋さんでいい毛蟹を仕入れたからって ちょいと買ってきたんですけれど 一緒に食べません? 「わあ ちょうどよかった わたしも 佐々木(仮名)さんに贈り物があるのよ」 お 贈り物? わあ なんだろう うれしいなあ 「はい これ。 どんなふうに使おうかって考えあぐねてたんだけど 蟹を食べるときに使うのが 一番のベストチョイスだって 今 思い至ったわ」 え なんですか? これ 「うん。 裏ルートで闇オークションに流れていたのを わたし 手に入れたんだけれどね。 ちょっと 手にはめてみて」 手にはめるって これ 剣道の籠手じゃあ ないですか 「うん。 とある高校の剣道部で 代々代々使われ続けてきた 部室に備え置きの籠手よ」 それを はめろってんですか? はめてたら 蟹を食べれませんよ 「いいから。 黙って はめる」 う うん。 うわあ なんか ぬるぬるしてる 「何代にもわたって剣道部員の汗がしみ込んだ籠手だもの。 一度も日干しとかしてない 黴臭と酢酸臭の塊だもの。 ぬるぬるするのは当たり前だわ」 ひぃ! 手が 手が痒くなって! 手が痒くなってる! 外してもいいですか?! 「だめよ。 さあ これからどうでもいいお話を ちょっとしましょうよ」 (中略 30分経過) …でね その男はクラスの女全員とキスしたことがあるっていうんだ。 まあ よくよくきいたら全部が間接キッスで それも縦笛を介入したいわゆる笛舐めだったってわけさ 「ふーん まあ そんなことはどうだっていいんだけれどね。 さてと そろそろ頃合ね 佐々木(仮名)さんの持ってきた蟹 食べましょうよ。 食べ終わったら 次の休みの日の予定を立てようよ 水族館にも行きたいし もっと面白いこと いっぱいしようよ」 え あ うん そうですね 楽しいことを たくさんしましょうよ。 ああ よかった。 ミドリさん 約束をすっぽかした僕を 許してくれるんですね 「ふふふふ。 そうだ じゃあ さっさとその籠手 外しなさいよ 外さないと 蟹 食べれないよ?」 ああ よかった さっきから 手がむずむずして仕方がなかったんです …うわ 手が すごく臭い! 何だこれ! 糸を引いてる! 「剣道の籠手をつけた後ってのは そういうものなのよ」 と とりあえず 手を洗ってきます こんな臭いのついた手は どうも 「誰が手を洗っていいッつッた」 え ミドリさん こんな臭い手で 蟹なんか食べられませんよ? 「そのままだ。 その臭い手のままで蟹を食えばいいんですよ 佐々木(仮名)さんは」 うええ せっかくのおいしい蟹なのに 「その臭いつきの素手で この蟹 むしゃぶりつけばいい 全部食べたら 約束すっぽかしたこと 許してあげてもいいけれど」 なんてミドリさん 自分の分の毛蟹を寄せて 僕に残りの毛蟹をごっそり押し付けました うええ こんな臭いの手で 食べられるわけがないよ 「さっさと食わないと 容赦しないよ」 どうやらミドリさん 僕を許す気などさらさらないようです。 # by khem_mark | 2005-07-05 15:57
今日も仕事が遅くに終わり 自室に帰ってこれたのは 真っ暗 真っ黒 真夜中で。 玄関開けて 部屋の中は真っ暗く ただいま なんて独り語ちても返答なんてある訳ないし 今宵も侘しく寝るためだけに帰ってきましたよ。 ああ さっさとシャワーを浴びて そのあとは冷えた缶ビールをグイグイ一気飲んで すべるように眠りにつこうと思うよ。 とりあえず 部屋の明かりを点けようか。 真っ暗い中 躓かないようゆっくり進み 部屋の真ん中 明かりスイッチの引っ張り紐が垂れ下がってる大体の位置 手伸ばし 手探り 指先当たり あった 引っ張り紐 掴んでグイっと引っ張った 『いたっ』 いたっ? なにが? つうか 誰が? 女の人の声 ってことは僕じゃない じゃあ 誰だ この真っ暗い部屋の中 僕以外に誰か居る? うわあ! 僕 ビックリして 掴んだ電灯スイッチの引っ張り紐 グイグイ何度も引っ張ったけれども 明かりが点かず 真っ暗いまま。 更には 知らない女の人の声 『いたっ! いたっ!』 が繰り返し聞こえてきます うひぃ いたって 何がいたんだよう 立て続けに紐をグイグイ引っ張ってると ブツリ 音がして紐が抜けました わあ 壊れた! 『ぎゃッ!!!!』 うひゃあああ! 知らない女の人の声がひときわ大きく聞こえ 僕 思わず悲鳴を上げて 手を振り回すと 手に当たったのは 電灯の引っ張り紐の感触 あれ? さっき引っこ抜けたはずなのに なんで? と思いつつ 手に触れた引っ張り紐 掴んで引っ張るとカチリ 何の支障もなく明かりが点いて。 ありゃ どうしてだ? いや そんなことより声の主 僕の部屋の中にいた誰かは何処に行った さっきの声は ごく近くから聞こえてきたぞ 何処だ どこにいる 僕 部屋中隅々を見渡したけれど 僕以外に誰もいず 押入れとか風呂場トイレなんかを覗いたけれど 誰もいず この部屋の中 最初ッから僕以外誰もいなかったんじゃないかって思えるくらいでありましたが。 断じてそんなことはありません さっき 確かに 女の人の声を聞いたのです。 僕のすぐ近く 僕の知らない女の人が 確かに存在したのです。 それの証拠に 僕の手の中 さっき引っこ抜いた電灯の引っ張り紐 と思い込んでたモノ 握りこんでいたのは 艶やかに黒くて妖しく長い 女の人のものと思われる 髪の毛が一筋。 # by khem_mark | 2005-07-02 04:45
出張で 何日か前から遠い他県にお出かけ中の彼女からお電話がありまして。 僕 受話器の向こう 彼女に云いました。 ああ そう云えば どうでもいい話なんだけれども 昨日のお昼時 君のことを見たよ 街の 横断歩道のところで。 もちろん 君が出張中で 昨日 この街にいないことは 知ってるよ 日帰りできるような距離じゃない 遠い遠い場所にいるはずの君が 昨日 この街 あの場所にいるわけがない だとしたら ただ単に 君によく似た人をみただけだったのかもしれないし 見間違いだったのかもしれない けれど 僕は アレは 君だったと断言できる 僕は 君をみた。 僕が 他の誰かと君を見間違えるわけがない 見覚えのある 君がお気に入りだって云ってたプリーツスカート 昨日 着ていたね あの柄 よく憶えているよ でも ビックリしたよ 昨日 君がいた場所 明らかに物理法則を無視していた 横断歩道の上空10メートル さかさまになって静止 僕のことを ジッと見ていたね 僕は 自分の目を疑ったよ 僕が君のことを思いすぎて とうとう君のマボロシを視るまでになったか と。 けれども 僕の目だけに視える僕だけのマボロシって訳じゃあなかった 僕の他にも 空中で静止してる君のこと 視えた人もいた 僕とその人は二人して ポカンと呆気にとられつつ 君のことを視ていたよ まあ 君が横断歩道の上空にいたのは30秒かそこら まばたきした間に 消えてなくなってたよ。 アレは一体 なんだったんだろうねえ 君 身におぼえはあるかい? 受話器の向こう 彼女が云いました。 『ああ それはきっと 私の生霊なんだと思う』 生霊? 『うん。 あなたの事を思って想って思念いすぎて 私の身体からぬけだした 心の一欠けら』 あ ああ そりゃ ありがとう 『昨日のお昼時だって云ったわねえ うん 憶えてる。 私 お昼を食べてたら 急に あなたの事が頭の中 はっきり見えた 遠眼鏡で覗いたみたく はっきり。 私の生霊が あなたの事を視たせいだと思うよ』 うえ そ そうですか 『聞いた話によると 生霊ってのは その人を思う力が強いほど はっきり出てくるようなのよ その人を愛しいと思うにせよ 殺したいほど憎いと思うにせよ。 愛と憎は同一感情の両極端だって云うけれど 本当の事ねえ』 え 何の話ですか 『昨日の私の生霊は あなたを愛しいと思うあまりに発現。 今の私の生霊は あなたを憎いと思うあまりに発動。 今 あなたの後姿が はっきりと頭の中に見えるわ』 だから なんの 「『あなた 昨日 横断歩道のところで 誰と一緒にいたの? あんなに楽しそうに 腕なんか組んでイチャイチャしちゃって 私以外の女と ああ憎い 殺してやろうかしら』」 受話器の向こうと僕の真後ろ 彼女の音声 ステレオに聞こえ(溶暗) # by khem_mark | 2005-06-26 14:36
泣かないで 泣かないで 君が泣くと 僕が悲しい 泣かないで 泣かないで 君のそばに居るから 僕が たいして何もできないけれど いつだって 君のそばに居る 何があろうと僕は ずっと 君のそばに 居ることができる 君が誰からも親切にされなくて 誰からも酷い仕打ちを受けるようなときにだって 僕は 君に少しだけ優しい たとえ君が 世界中の人から忌み嫌われて あらゆる関係が断絶したとしても 僕がいるから 君のそばに 君が生きとし生きる全てのものの厄災の根源だったとしても 最悪の根源だったとしても 僕には関係ない 君と一緒 君が死ぬまで 離れない。 君がもし 今しもヴァニラ・アイスのスタンド『クリーム』に呑み込まれて死亡する寸前のモハメドアブドゥルだったとしても 僕は なんの躊躇いも無く 君と一緒に呑み込まれるよ 亜空間に。 今じゃあたいして役に立たない 木偶の坊の僕だけど ほとんど何も出来ない無能の出来損ないみたいな僕だけれど 君のそばにいることだけは 出来る 君の後ろに ピッタリと 立っていることだけは 出来る。 だから 泣かないで 泣かないで 僕の墓の前で 泣かないで。 そんなお墓の土の中 僕はいない 土の中にあるのは 精々が僕の痕跡 かつて僕であったものの 焼けて焦げて灰燼のカルシューム 僕のお墓に 僕の魂は いない だから 僕の為に これ以上 泣くのはやめて 僕がいるから 君の後ろに。 ああ でも君が 僕に気付けないのなら 君の後ろに立って憑いている僕に気付けないというのなら 僕は 君に姿をあらわすことが 出来る 君が 二度と僕に逢えないと思ってて 寂しいと感じているのなら 僕は 君に姿を見せる事が 出来る 出来るんだ いいかい 君に 僕の姿を見せる事が出来るんだよ。 ほら 泣きじゃくる君が それでも涙を拭いて立ちあがり 僕のお墓に最後の一瞥 クルリと振り返った君に 僕の姿を。 君 最初 きょとんとして 何がなんだか わからなかったみたいだね でも ゆっくり 僕の全身をみて ひゅっと息 呑みこんだね ほら 泣き止んだ ああ 泣き止んだけれど 君 絶叫したね 途切れる事のない悲鳴をあげ続けたね そりゃあ 急行列車に轢かれてブツギリ微塵粉砕されて 人の形をしていない僕の身体を見たら 女の子なら悲鳴をあげるだろうさね でも そんなに 叫ばないで 叫ばないで。 君が 今の僕の姿を見て嫌悪に絶叫するのなら 僕は 君が死ぬまで # by khem_mark | 2005-06-17 15:16
here and there vol.022 に 短いお話をかいています。
# by khem_mark | 2005-06-14 01:50
僕はもう 死んでしまうべきなのだ 大好きだった彼女に お付き合いできないって云われた僕は 死ぬより他に 方法がない 生きているのは嫌 死んでいないのは嫌 誰からも見向きもされない僕は 変死体で発見されるべきなのです 考えよう どんな変死体になるべきか 決まっているのは公園のベンチ 雨降る深夜 僕 死に装束のパジャマに着替え 雨に打たれてグッショリ濡れて 冷えて凍えて震えて死んで 次の日の朝 真っ白く変色した僕の死体 新聞配達の少年によって発見されるのです 発見された僕の死体 僕の両手 何を持っているのが良いか おかしなモノを持ってなければ 僕は 変死体とは みなされず 何を持とう 何が良い ちくわ なんていかがでしょうか ちくわを握った僕の死体 そのちくわで 何をしようとしていたのでしょう それとも ダイイングメッセイージ? いいえ いけません ちくわなどの 食物はダメ カラスや野良猫に狙われ突つかれ食いちぎられて 無いものにされてしまいます 何を持とう 何が良い 空気で膨らませるオランダ妻などいかがでしょう 矢部美穂写真集ハッスルテングなんてのも いいかもしれない そんなエログッズを握り締めた僕の死体 変死体なことこの上ないけれど いけません 僕の性的嗜好が疑われてしまいます なんだ ハッスルテングって 何を持とう 何が良い 変死体が持っているのに相応しい 似つかわしくないヘンテコなモノ チャンピオンベルト 優勝カップ ピアニカ ハープ ジャポニカ学習帳 信楽焼のタヌキ オナペッツの頭の部分 ミッシリ長靴に詰まったチコの実 ああ ダメだ どれもこれも いまいちで インパクトが足りない 何が良い 何を持った どんな変死体にしあげるべきだろう 僕 夜の公園 ベンチに腰掛けた僕の死体を前にして 一体 何を握らせるべきか 延々と考え続けているのです。 # by khem_mark | 2005-06-02 01:06
会社の休憩室にて ワイシャツの袖ボタンが取れたので繕おうと 針の穴に糸を通そうとしているとです。 「なにやってんの?」 と 声を掛けてきましたのは 会社の同期。 やあ ちょっとボタンが取れたものだから。 繕おうとしてるんだけれど なかなか 糸が針に通らなくて。 不器用な男ですから。 「高倉健気取り? ちょっと貸してみてよ」 と 僕の手から針と糸を取り上げて。 「ん…」 なんて 糸の先を口に含み ちょいと尖らせて 精神集中。 「や… ん… で… どうだ! 通ったよ!」 なんて 得意満面な笑顔をしてさ。 あ どうも ありがとう。 でも あれだよ 止める間も無かったけれどさあ 「止める間って?」 ん? ほら 最初 糸の先 口で濡らしたじゃない。 それ 僕がさんざん最初にやってるからさ 僕と君との 間接キッスになってしまったよ 「ふん そんなこと… 知ってるよ」 だなんて 耳の先まで真っ赤にして クルリ踵を反すと 休憩室から出ていきました。 まったく 柄にも無く 可愛らしい行動をしてくれる。 あとは あの同期が 男じゃなかったらよかったんだけれど。 # by khem_mark | 2005-05-19 01:22
とぅるるるる とぅるるるる はい もしもし? 『おう いたな』 なんだ 兄さんですか どうしたんですか 電話だなんて 『いや なに。 ちょっとお前に話したいことがあってな。 カゴメカゴメの唄 あるだろ』 ああ ありますね。 後ろの正面だあれ ってヤツですね 『うん 俺が唄って聞かせよう かごめ かごめ かごのなかのとりは いついつでやる よあけのばんに つるとかめがすべった うしろのしょうめんだあれ どうだ?』 いや どうだもこうだも。 で カゴメカゴメがどうかしたんですか? 『アレについて 画期的なことを思いついたぞ! 寝入り端に!』 寝入り端って。 きっとソレは 眠い頭が思いついた妄想ですよ 『妄想じゃない。 もう 凄いぞ! ビガッ!って閃いたんだ』 兄さんの妄想の瞬発力は スゴイですからねえ 『妄想じゃないといってるだろう。 まあいい。 お前は カゴメカゴメの 《カゴメ》ってのは なんだと思う?』 カゴメ ですか? 僕の知ってるいくつかの事だと 子供達がしゃがんでいる子供をかこんで回るから『囲め』のカゴメ。 真ん中の子供がしゃがんでいるから『屈め』が変化してのカゴメ。 籠の中に閉じ込められた遊女のことを唄ったから『籠女』のカゴメ。 籠の編み目すなわち晴明桔梗と呼ばれる五芒星 または六芒星に例えて魔除けの意とする『籠目』のカゴメ くらいですかねえ。 柳田國男あたりが『カガメ』が『カゴメ』に訛ったって云ってたような気がします 『ふん。 どれもこれも ありきたりのことだなあ お前は その程度のことしか知らないのか この 無知蒙昧がッ!』 ンなッ? そこまで云うんなら 兄さんの思いついたことってのは どんだけスゴイことだってんです? 『だから 『カゴメ』 は『カガメ』 だったんだよ』 は? 『カゴメ』が『カガメ』ってのは 僕 さっき云った中に入ってるじゃないですか 兄さんは 話を聞いていないんですか 『だから お前のいってる『カガメ』は しゃがむという意の 屈め の『カガメ』だろう? ちがうんだ 俺の云うカガメは 『カガ メ』 すなわち 蛇の目 ってことだ』 蛇の目? 『カガってのは蛇の古語だ。 その目ってことで カガメ。 このカガメってのが 鏡の語源って説もある。 なにしろ蛇の目はピカピカ光るからな。 カガメが鏡であると考えるなら 凄いぞ』 凄いって 何がです 『馬鹿。 『後ろの正面』を覗く為 後ろを振向く以外 一番手っ取り早いのはなんだ? 鏡を見ることだろうよ』 ああ そうですね。 『つまり 『かごめ かごめ』ってのは 『鏡よ鏡よ鏡さん?』って問いかけであると 俺は結論付けたのだ』 白雪姫の 魔法の鏡じゃないんですから 『カゴメカゴメが不吉な唄だって云われるが 昔っから日本に伝わってて今も残っている唄や歌の類は並べて不吉なものなど無いってえのが俺の持論だ。 なにしろ言霊信仰ってヤツで力あるものが謡った詞は本当になる。 だから 不吉で物騒な唄が野放しで残っているわけがない』 でも 鶴と亀が滑ったってのは お目出度くないですよ 『鏡に映る世界ってのは この世と真逆である。 鏡の向こうの世界なら 『夜明けの晩に鶴と亀が滑った』ってえ不吉な詞が 鏡のコッチのこの世では真逆となり 祝詞となるじゃあないか。 全然 不吉じゃない』 んじゃあ 『籠の中の鳥はいついつ出やる』ってのは? 『ん? ああ そこはまだ考えてなかった。 これは つまり最初のカゴメカゴメに続いている言葉だからな 『鏡よ鏡よ鏡さん? 籠の中の鳥は いつ出ることが出来るのでしょう?』であるとするならば あ ああ ちょっとまて! つまり 鏡の中 私の後ろの正面に立っているのは誰?ってことだとするならば 一人で鏡に向かっているはずなのに 映っている見ず知らずのナニカは』 ちょっと兄さん 何をブツブツ云ってるんです 『まて アレは何だ なんで俺の鏡にそんなのが映っている? あれか 鏡の前で カゴメカゴメをうたったからか まさか そんな 鏡の中 俺の後ろの正面にいるのは なんだ? いや そんな! あの手はなんだ! 鏡に! 鏡に!』 つんざく兄の絶叫 幾ばくかの間 そして永遠する静寂 何度呼びかけても兄の応答は無く。 以降 兄の行方は ようとして知れず。 # by khem_mark | 2005-05-17 14:03
# by khem_mark | 2005-05-13 02:09
「大分 昔のことよ。 約束の時間に遅れそうなものだったから 赤信号を無視して 自転車で道路を渡ったことがあったんだ」 と 彼女が云いました。 「その日の夜のことだよ。 あたしの 死んだお祖父さんが夢に出てきた。 『お前 今日危ないことをしただろう 死ぬところだったぞ 俺が代わりに死んでおいた 以後気をつけろ』ってな具合にね」 へえ 死んだお祖父さんがねえ。 孫思いの 素敵なお祖父さんじゃないですか 「うん 本当に。 でも あたし それが本当なのか 確かめたかった。 もしかしたら その夢枕にたったお祖父さんってのは私の見た夢でしかなく ただの妄想なのかもしれないじゃない だから もう一度 自転車で 赤信号を無視してみたの それも かなり際どいタイミング でね」 あ 危ないじゃないですか 「うん 本当に危なかった。 死ぬところだった もうちょっと道路を横切るのが遅かったら 背中を後押しされる感覚が無かったら ダンプに轢かれてペッチャンコ だったわねえ」 背中を後押し? 「そう。 トンって 押される感じ。 ギュンって急加速した。 その夜の夢に やっぱりお祖父さんが出てきたよ。 『危ないなあ また 俺が代わりに死んでおいた』 って。 やっぱり 私の妄想なんかじゃなくて 本当にお祖父さんが あたしを守ってくれたんだ」 何度も助けてくれるお祖父さんに 感謝しなきゃだめですよ 「感謝なら してるわよ。 アレから 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も あたしの身代わりに 死んでくれてるんだから」 はあ? な 何度も何度も何度もって 何度ですか 「数え切れないくらい よ。 あの時からあたし 死に際ギリギリ限界のスリルっていうの? それに病み付きになっちゃって。 自分の命を試すようなこと それこそ毎日やってたわ。 そして 死にそうな目にあうたびにお祖父さんが夢にでてきて『俺が代わりに死んでおいた』って」 うわあ 最低だ 「最低ってなによ。 もう死んでるんだから 何度死んだところで お祖父さんにとっちゃ一回死ぬのも何百回死ぬのも 同じような… まあ 同じじゃなかったんだけれど」 同じじゃ ない? 「一度 身代わりになる度 お祖父さん 何処かが壊れていくの。 死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて死んで壊れて もう 壊れてないところがないくらい。 それでもあたしの身代わりになって死んでくれるんだけれど もう 限界かもしれない。 こないだ夢枕にたたれたときは お祖父さんかどうかも分からない ズタ袋みたいな肉塊が 途切れ途切れの呻き声を上げてて あたし 気持ち悪くて 叫びながら目覚めちゃったわよ」 なんてことを 「だから そろそろ お祖父さんの身代わりが必要なのよ あたしの身代わりに死んでくれる お祖父さんの代替品。 前に『死んでも君のことが好きだ』って云ってくれたアナタなんか 最適だと思わない ねえ?」 と 彼女 銀のナイフで僕の咽笛をサクリ # by khem_mark | 2005-05-13 01:01
「大変だ! すごいことに気が付いたぞ!」 うわあ なんですか兄さん そんなに息せき切って 「油すまし って10回云ってみろ!」 油すまし? えーっと あの妖怪のですか。 油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし油すまし はい 10回 「気付かないか?」 何に? 「この馬鹿! いいか 俺の云うことを よく聞いてろ! 油すまし あぶらすまし あぶらすました アブラスマシタ アフラスマシタ アフラスマスタ アフラ=マスタ アフラ=マスタ アフラ=マズタ アフラ=マズダ… どうだ! 妖怪油すましは ゾロアスター教の光明神アフラ=マズダだったんだよ!」 な 何だってーッ!? いや その理屈はおかしいから兄さん だめだよ また病院を抜け出して来たりしちゃあ。 そんな 拘束着をつけたままでどうやって逃げ出したものやら。 あとで 看守さんに きっちりとお仕置きしてもらわないとねえ # by khem_mark | 2005-04-29 19:53
「どうしたんだ 死にそうな顔をしてるぞ」 ああ ちょっとね 「また酒の飲み過ぎで 二日酔いか?」 二日酔い そうかもしれない。 強い酒を飲んだんだ 「強い酒?」 失恋っていう名の 黒くて苦い 強い酒を ね なんてことを チャールズブロンソンみたいに渋いツラして云った途端に ぶん殴られた # by khem_mark | 2005-04-29 03:21
今日は君と 映画を一緒に観に行ったのだけれど 君と二人して 映画を観に行って 僕はこれを 君とデートなのだと合点していたのだけれど もしかしたら 僕とお話する君の目は 笑っていなかったのかもしれない。 正直 僕は 君のことが好きだけど 僕は 君のことが好きすぎて死ねるけれど 君は 僕のことを好きじゃないのかもしれない なんて。 君が 僕のことを嫌いで 本当は 話をするのも嫌なのかもしれない なんて。 けれども君は 僕のこと 眉を顰めるでもなく 話を聞き流すでもなく いちいち笑顔で相槌打って だから僕は 君も僕のことが好きなんだと一安心して。 でもそれが 薄っぺらでリアルじゃなくて 君が 僕のことを好きじゃなかったとしたならば いっそのこと 僕のこと 罵ってください 蔑んでください 貶してください 誹しってください そしたら僕は 諦めがつく 僕のこと 非難してください 糾弾してください 批判してください 叱責してください そしたら僕は 安心することができる やっぱり僕は 誰かに好かれるわけがなく やっぱり僕は 君に好意を抱かれてる訳がなく やっぱり僕は 独り善がり 独り芝居 恋の絡繰り夢芝居 そしたら僕は 独りっきりで生きて生きて死ぬまで生きて終われる ああ やっぱり僕は 本当に僕は 気持ちが悪い 気色が悪い 僕は 気色が悪い 僕は 醜い 卑しい 浅ましい 汚らわしい みすぼらしい 僕は 見苦しい 禍禍しい 忌忌しい 痛々しい 図々しい 苦々しい 白々しい とっても ひもじい 寂しい 苦しい 悲しい 恐ろしい けれどもそれでもどうしても 恋しい やっぱり 僕は 君のことが 愛しい 愛しい と 百回書いてみましょう 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 愛しい 百回書いても 千回書いても 同じです 僕は 君のことが 愛しい。 生まれる前から 死んでしまった後も 僕はずっと 君のこと 愛しています。 # by khem_mark | 2005-04-27 00:57
今日は仕事が休みでありましたので まだ日の高いうちから独り手酌をしゃれ込んでいるとですよ。 僕の近所に住んでいる親類の娘さん ミドリさん15才が遊びにやってまいりました。 「あらあら 真昼間からお酒だなんて ふしだらな」 そんなことはお云いじゃないですよ 休みの日ぐらい お酒を フィぅ 「フィぅ?」 や ただのシャックリですよ お酒を呑 ヒゥッ むと シャックリが止まらなくなって 「お酒を呑んでシャックリが止まらない なんて エロいにも程があります」 え エロい? ってなんですか 「お酒を呑んでシャックリだなんて どこの誘い受けですか!」 誘い受け? ミドリさん 何を云ってるのかわからないですよ 「そんな 薄桃色に上気した肌で胸元もあらわ とろんとした目でシャックリなんかするキャラは 受けですよ!」 や 受けって なんですか 「どうせアレですか 『ヒック お酒を呑んだら しゃっくりがとまらなくなっちゃったよ』 『そ そうか』 『しゃっくりを止めるには どうしたらいいんだっけ?』 『たしか ビックリするようなこと したらいいんじゃないのか』 『ふふん じゃあ ビックリするようなこと してみせてよ ん?(ずずいと顔を寄せ)』 『そんな 急にビックリするようなことって云われても どうしたら』 『ふふ 簡単なことだよ こうしたら… ん』 なんて急にキスしたりしてそしたら相手が『な なにするんだよ!』って云ったところを『ビックリしただろ? ふふ』だなんて小悪魔チックに! イチャイチャなことを! 男同士なのに! キャー!! 佐々木(仮名)さん エロい! 酒がEROくなる!」 や その独り芝居はどうかと思いますよ? つうか 男同士? それにしても ミドリさんの頭の中で 僕は 誰と掛算されているのでしょう # by khem_mark | 2005-04-25 05:54
先日彼女が 「実家に帰ったときのお土産だよ」 と置いていってくれた 無印一升瓶三本 タップリ入った 薄桃色のお酒。 たぶん 彼女の実家で作った密造濁酒的な 非合法なものなんだろうけれど そんなことどうだっていいほど美味しいお酒でありまして ああ こんなに美味しいお酒を呑んだのは 初めてのことです。 一口呑んだだけでグラグラくるほど強いお酒でありましたが コップに一杯ついではグィと一息に呷ってああ美味しい じゃあもう一杯 ってな調子にひっきりなしで。 彼女が置いていったその日にはもう 一升瓶 三本とも空っぽであります。 空っぽになっては我慢がならぬ ああ もっと呑みたい 呑みたい 呑みたい 呑みたい 一升瓶 逆さに振って最後の一滴 直接口受け もっと呑みたい 死ぬほど呑みたい 死ぬまで呑みたい のどが乾く 渇く 足りない 足りない 足りない 一升瓶を水でゆすいで出来た風味だけの極薄のソレを飲んでも 渇きはいや増すばかり このままじゃ 渇いて死んでしまう そう思っていたときです。 「わあ もう 全部呑んじゃったんだ」 と 訪ねてきたのは彼女 ああ 丁度いいところへ アレです あのお酒を お酒をくださいませんか 呑ませていただけるのなら 対価は何でも アナタの望むことで出来ることならなんでもいたしますから 何卒どうか お願いします お願いします 「そんな卑屈に頼まないでよ。 それにしても 一日でネズミ酒 全部呑んじゃうなんて 随分お気に召したようね」 ネズミ酒? なんですか それ 「私がアナタにお土産で置いてったお酒よ」 ああ そんな名前だったんですか でも なんでそんな名前? ネズミだなんて お酒なんだから もっと美味しそうな名前を付けるといいのに 「ンなこと云ったって 材料にネズミを使ってるんだから 仕方がないじゃない」 んな?! 「ネズミを使ってるのよ 材料に。 特殊なネズミ なんだけれどね」 いや ネズミってアレですよね チューって鳴く あの 「そう そのネズミ。 でもね ネズミはネズミ だたのネズミ でも そんじょそこらのネズミじゃないよ」 でも ネズミを材料に使った酒ってのは 食品衛生上 どうなのか と 「毒とかは ほとんどないから 安心して」 ほとんどってことは ちょっとは毒があるんじゃないですか 「まあね 大分薄まってはいるけれど」 まあね じゃないですよ なんですか毒入りって 「いいじゃない 死ぬほどの毒じゃないんだから。 えっとねえ 毒ってのは 毒キノコの毒よ」 毒キノコ? 「そう。 私の実家の方の森にしか生えない特殊な毒キノコらしいわねえ 一口食べるだけで死ぬほどの致死毒があるんだけど とっても美味しいキノコ」 致死毒?! 死ぬじゃですか! 「その 死んでも食べたいキノコを どうにかして味わいたいってえ先人の知恵が このネズミ酒よ」 どういうことです? 「このキノコが繁殖するのは年に一度の限られた時期 森の地肌一面が肉桃色のキノコで覆われて充ちて満ち 幾重にも重なり複なって 森はキノコに侵食されてしまうのよ。 で そのキノコを餌にするのがネズミ もちろん猛毒だから 食べたネズミは死んじゃうんだけれど キノコを食べて死んだネズミにキノコの菌がついて ネズミからキノコが生える ネズミから生えたキノコはちょっとだけ毒が弱まっていて 今度は別のネズミがそのキノコを食べ またそのネズミからキノコが生え それを繰り返すうちに キノコがネズミでネズミがキノコ ってな生物になるのよ。 そうなると 毒性もほとんど失って影響なくなるから そのネズミを使ってね お酒を作るのよ」 それが あの お土産のお酒ですか? 「うん キノコ化したネズミの内臓を抜いて お酒に漬けこんだのが アレよ。 お酒がピンク色になると キノコの旨味と菌がお酒に沁みこんだ頃合ね」 うげえ そんなものを呑ませてくれたんですか うわあ 「なによ 美味しい美味しいって 呑んだんじゃないの? それに もっと呑みたいんじゃないの 咽が乾いて たまらないんじゃないの?」 う うぬう そうです 僕は あの薄桃色のお酒が呑みたいんですよ 今も 咽がヒリヒリして これをなんとかしないと 頭がおかしくなってしまいます 「大丈夫 何とかしてあげるよ。 のどが渇いてるのは すぐに気にならなくなるから」 ってことは ああ さすが よくわかっていらっしゃる さあ 早く 早くあのお酒を お酒を! 「え お酒? ああ お酒。 今は無いわねえ」 ない ですって?! 「ないわよ あのお酒は存外貴重なものなのよ 量もそんなにないし 作られる時期も 限られてるもの アナタにお土産であげたあの三本で 打ち止めよ」 そんな! 何とかしてくれるって云ったじゃないですか! じゃあ 僕はどうすりゃいいんです! こんなに渇いてしまってるのに あのお酒を呑めないなんて もう 普通の生活には戻れない! 「大げさねえ。 渇いてるのは すぐに気にならなくなるって云ってるでしょ」 え じゃあアレですか この渇きは一時性のもので ちょっとした禁断症状みたいなものなんですか? 「うん 禁断症状。 でも 一時性じゃあ ないわねえ。 あのお酒をもう一度口にするまで その渇きは癒されない アナタはそこで 乾いてゆくしかないわねえ」 ええ! 云ってることの 意味がわからない 「あのお酒はねえ キノコの美味しさを味わう為の手段なのよ 自分が呑むためじゃなくて ヒトに呑ませて 菌を植付けるための手段」 だから 意味がわからない 「あのお酒を呑んだヒトは 菌が身体を侵蝕して キノコ人間になるのよ そのキノコ人間を美味しくいただくのが 最終目的。 もう アナタの八割方がキノコになってるから そろそろ食べごろだわねえ。 あ キノコ人間を食べると 食べた人もキノコ人間になるんじゃないかって? 大丈夫 ちゃんと熱を通すと菌は死ぬから 美味しく料理して 食べてあげるわよ」 なにをいってるのか いみがわなからい 「じゃあ そろそろ頭の中も キノコになりかけてるみたいだけれど 約束通り 咽の渇きをとめてあげる」 かのじょ そういってだい どころか ら ほうちょ にぎ て さし
「大変だ! 一大事! 大発明だよ 君ィ!!」 「なんですか博士 そんな 倍達風に」 「コレを見ろ 凄いだろう!」 「や そりゃ なんです?」 「ああ こんなに節くれだって捻れてて てらてら黒光りなんかしちゃって うっとりしちゃう…」 「だから その変なの なんですか」 「ふン! 知らざあ云って聞かせやしょう 無知蒙昧な君は心して聞くがいい!」 「どうせまた ロクでも無いモノなんでしょう」 「コレはな 武器だよ」 「武器?」 「無慈悲に冷酷 残虐に過酷 無惨に残酷 残忍卑劣 極悪非道 最強に最悪 非人道的に非道徳 人を殺して殺して殺して殺して殺す為だけの窮極目的 終極手段としての 武器 だよ」 「そんな大げさな。 博士お得意のホラ話でしょうに」 「本当だって! 凄いんだぞ!」 「でも 博士の持ってるソレが武器だとは思えませんよ? 見た感じ ちっぽけでちゃちで 粗末で貧弱な 武器としての凄みなんか 全然感じないです 武器ってのはもっと ギラギラしてて禍禍しくて 忌忌しい ゾっとするものでしょう?」 「そうか… そんなに私の発明したコレが ちっぽけでちゃちで 粗末で貧弱 か… 黒光りしてるのにな…」 「や そんなにガッカリしないでくださいよ あー あれだ ソレのその 尖ってるところで刺されたら 凄く痛そうですよ ね それに 黒光りしてるところなんか とても いいと思いますよ」 「だよな! やっぱり 武器ってのは黒光りしてないと!」 「え ええ そうですね。 ところでソレ 武器らしさがあんまり感じられないんですけれど どんな風に使うんです? そんなんで攻撃されても まるで痛くなさそうですが」 「ふむ。 それなら君ィ! 頭の中で考え得る 最悪の苦痛 むごい死に様を思い浮かべてみたまえ」 「むごい死に様 ですか? ええっと じゃあ 爪切りで 死ぬまで全身の肉を抓み毟られる とか」 「他には?」 「生きたままヤスリでゴリゴリ削られる とか 大根オロシ器で身体の先っぽから擂られる とか」 「他には?」 「軍隊蟻に襲われるとか トックリバチっぽい何かに卵を生みつけられて 身体の内側から蝕まれた末に死 とか 大体そんなものですかねえ」 「『大体そんなものですかねえ』 。 ふふん ならば君にはこう云おうか。 『そんなものは天国だ!』」 「うわあ 随分と大きく出ましたね」 「今 君が云ったことを 全部足してもなお酷い 何倍掛けても追いつかない 空前絶後の地獄絵図だ この一撃を食らったもの様々な苦痛を体験した挙げ句 生きながら腐り糞便と化す 生まれた事を悔いながら死ぬのだ! 凄いだろう! まあ この武器の使い方は物騒だから 教えてあげないけどな」 「まあ そんなことはどうでもいいですよ」 「どうでもいいってなんだね これは 物凄い事なんだぞ」 「だって博士 何の為に そんな物騒な武器 発明したんです?」 「何の為って そりゃあ 我が身を守る為さ」 「我が身を守るって そんな 博士を攻撃するような敵なんて 何処にいるんです」 「そんなことなら心配無用 敵なら これから つくるんだ」 そう云って博士 僕にニッコリ微笑みました。 外は核の冬 他の生き残りが居るかは知らない 地下数100メートル 強固に閉ざされたシェルターに 僕と博士は 二人きり
here and there20号にお話を一つ書いていますよ。
# by khem_mark | 2005-04-13 03:55
ミドリさん15才は 僕の近所に住んでいる親類の娘さんです。 僕の部屋に遊びにきたミドリさん 本棚の本をペラペラめくりつつ云いました。 「佐々木(仮名)さん 私の部屋の本棚 一つ増やすから お金ちょうだい」 え えっとミドリさん なんで ミドリさんの本棚を増やすのに 僕のお金を? 「だって 佐々木(仮名)さんから貰ったり借りたりした本で 私の本棚 もう少しで一杯になっちゃうもの」 ああ そういやあ僕 読み終えた本とかを貸したげたり 誕生日の贈り物に京極夏彦一式をプレゼントしたり していたなあ。 「今日 この漫画とか 何冊か借りてったら 多分 もう いっぱい」 などと 南條範夫原作山口貴由漫画 シグルイ1~3 手に取って。 ああ うら若い女子が そんな漫画を見てはいけません 「いいじゃない カッコイイし それよりも 本棚をさあ」 そんな本棚の話よりも アレです ミドリさん 「え なに?」 アナタの心の本棚を 僕という名の本でいっぱいに埋め尽くしたい 「はあ? な なにを」 むしろ 君の秘密の本棚を 僕の分厚い肉本で埋め尽くしたい! ぬ ぬふぅ! 「き きゃあッ」
コーヒーが苦手で飲めない僕に 彼が云いました。 「なんだ こんな美味いのが飲めないなんて 人生の8割がたをドブに捨ててるようなものだぞ」 いやあ アレです コーヒーの後味がイヤで。 飲んだ後 胸焼けがします 「あれだな モノがコーヒーだけに 胸が モカモカする ってヤツだな!」 と うまいことを云ったってツラの彼の目玉をコーヒースプーンでグルリとえぐり。 # by khem_mark | 2005-03-23 02:19
僕の部屋に遊びにきた彼女 手持ち無沙汰に本棚から手に取った一冊の本 ペラペラめくっているなあ と思ったらですよ 「うわあ!」 だなんて 急に大きな声を出したりして ビックリしたじゃあないですか 「ビックリしたのは私のほうよ! 何よコレ!」 彼女が指差した 床に落ちているソレ ああ なんだ ソレは僕が その本に 栞代わりに挟めておいたんですよ。 「栞代わり? コレが?! この 黄色い 蝶の屍骸を?!」 いやだなあ 蝶の屍骸なんかじゃないですよ 「どっからどうみても蝶じゃない! パピヨン虫よ!」 いいえ よく見てくださいよ 蝶じゃないです それは 蝶によく似た 黄色い 花ですよ 押し花です 「押し花? …あら 本当だ 蝶によく似ているけど 花ねえ でも こんな花 みたことないし 知らないし」 ええっと それはヨイノシルマシって名前の花です 蝶にそっくりで 年に一度 満月の夜 一斉に咲いて その夜のうちに無くなってしまう。 それに ヨイノシルマシが群生してる場所も限られてるから この花を知ってる人は 滅多にいないと思うよ 「ふうん 珍しい花 なんだねえ」 うん こないだ 猫の跳月を見物しに 猫の丘へ行ったとき 記念に一輪 手折ってきたのを押し花にしておいたのです 「え ちょっ 猫の丘ってなによ 猫の跳月? って?」 猫の丘ってのは 猫が月に跳ぶための場 です。 ヨイノシルマシの群生する丘で 全国に九つあるっていうけれど 「いや だから猫が月に跳ぶって 何? 猫ってアレよね ニャーって鳴く」 ええ その猫ですよ 猫は月に跳ぶものなのです。 年に一度 ヨイノシルマシが咲く満月の夜 真っ黄色に染まった猫の丘目掛けて 死ぬ猫 死んだ猫 長く生きた猫 もう生きていたくない猫 生きたくても生きれなかった猫 などなど その数 ざっと百万匹が集まり ヨイノシルマシの花を口に咥え 一斉に 猫の丘から月へ跳ぶのです 「そんな話 きいたことないよ」 ソレは君が知らないだけのことです。 そうだ 来年 一緒に見に行きましょう 猫が月に跳ぶところ 壮観ですよ 猫の丘 月の真下 咲き乱れるヨイノシルマシ ソレを目掛けて四方八方から駆け集まる百万匹の猫 鳴き狂う猫の群れが 先刻まで真っ黄色かった丘を瞬時にして食いちぎり 次々に跳んでいくんです 月を目掛けて伸びる猫の柱は 必見ですよ 「ふうん まあ ソレが本当の話で ソレを見る機会があったら ね」 ああ 信用していませんね 僕を 「そんな与太話 信用できるわけないじゃない なによ 何が猫の丘よ そんな嘘っぱち 誰が信じるって」 本当ですよ 信用できないってんなら 僕の云う事を試してみるといい 「試してみるといい って 何を?」 簡単な事です この ヨイノシルマシの花を口に咥え ぴょんと飛び跳ねてみるといい そしたらアラ不思議 ふわりと宙に浮く事請け合い 「本当に?」 本当ですよ この 蝶の翅によく似た花には不思議な効能がありましてね ソレを口に咥えて跳ねると 一瞬 宙に浮かぶ事が出来ます。 更に 空に満月が浮かんでいるときには効果倍増 月に引かれて高く高く浮かび上がることが出来るんです それこそ月に届くくらいに。 だから 猫はヨイノシルマシを咥えて跳ぶのです 「なんだかうそ臭いけれど まあ試してみるだけなら いいよ。 そのかわり 嘘だったら あんたの首の骨をおっぺしょるからね」 え えっと た ただ 押し花にしているんで 効能も薄れていると思います 浮かぶのも一瞬ですよ きっと。 それに 今は 月の出てない真っ昼間だから 「言い訳はいいから。 んっと 口に咥えて ジャンプすればいいのよね」 立ち上がった彼女 ヨイノシルマシ 口に咥え せーのでピョンと 飛び跳ねた そのまま彼女 ふわりと舞い上がり 上へ上へと舞い上がり すごい勢い グシャリとぶつかり 突き抜けて 天井。 一瞬 間を置いたのち 屋根の上で物凄い音 急いで玄関を出て表にまわって見ますれば ベッコリと人型にへこんだ屋根 ソコにスッポリ嵌りこむ形でめり込んでいる 墜落死した彼女 見上げると 空にはポッカリと浮かぶ まんまるな昼月
こおとろ ことろ コトロの山にはモッコがおってな 泣ぐわらしことば 連れでがでよ 攫てがれるでや 縛らいで吊るさいで燻さいで 脂コ抜がれでまうでや 泣ぐな 泣ぐな 泣げば山から モッコくらあで ぐぐど寝でまれ 寝でおがれ などと 子守唄にも唄われるコトロ山にはモッコなるモノが棲み 人を攫っては油を搾ると謂われています。 そんなコトロ山の奥深く 人知れず ひっそり建っているのは不気味な洋館 その洋館の大きな書庫 今では人目に触れることの無い珍本稀本発禁本が山ほど蔵書 物好きな古本マニアだの禁断の叡智を求むる求道者(自称)だのが時々迷い込むけれど入ったが最期 出てくる姿は見ることもない この洋館 コトロ図書館と呼ばれ アブラ・シボリ・タイナ の司書三人姉妹が棲んでいて 訪れる人達と血で血を洗うハートウォーミングストーリーを繰り広げているトカいないトカ。 このコトロ図書館に あなたが迷い込んだとしましょう。 そしてあなたが あの残酷残虐最悪最低の三姉妹に 運良く見つかることもなく 書庫に辿り着いたとしましょう。 そしたら 書庫の最奥 忘れられた本棚 一番の奥底に 海 という名の本 埃にまみれて捨て置かれています 偶然 それを見つけることが出来たのならば 面白い本なので 手に取ってご覧なさい 厚く積もった埃を拭えば 魚の鱗めいたザラザラな表装 鮮やかな青 深い青 海の青 表紙を開いて1ページ目をめくるがいいですよ 目次もなんにもないけれど その本には 字なんてもの 一つも書いちゃ いないけれども。 あなたは香る海風や 潮騒の音を聞くでしょう この本は 海 そのものなのです このままページをめくりつづければ キレイな珊瑚礁 群なして泳ぐ魚 ゆったり泳ぐ白巨鯨 なんかを感じることもできるでしょう もしかしたら ルルイエの館にて夢見て待ちたる死せるあの方にも 会えるかもしれない。 ただ 読む時には気をつけて。 読む前には 念入りに準備運動をしましょう 肌が弱い方は日焼け止めのクリームを 飲酒しながら読むのも止めましょう 心配な方は 浮き輪も忘れずに 底を抜いた柄杓も準備しておきましょう 舟幽霊も でてくるかもしれない そこまでやって準備万端 最初のページから ゆっくり読んで 身体を慣らしていきましょう。 この本を読んで 一番死にやすいタイプ 後書きを最初に読もうとする人 話のオチを我慢できずに読もうとする人 つまりは 裏表紙のほうからページをめくる人 そんな人は 最後のページ マリアナ海溝の所を開いて 水圧に押しつぶされてペッチャンコ。
here and there 19号に お話を一つ書いています。
# by khem_mark | 2005-03-13 13:10
【1】 ピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポン 早朝5時だというのに玄関のチャイムが狂ったように鳴らされています。 眠い目を擦りながら玄関を開けます。 あぁ お母さんじゃあ ないですか おはようございます 「おはよう じゃないわよ 今日はアンタに大事な話があってきたんだから」 大事な話って何ですか こんな朝早くに 「アンタ そろそろいい年でしょ 結婚しなさい。 今日はね アンタには勿体ないくらいのお嬢さんを会わせようと思ってね」 何を云ってるんですお母さん 結婚ですって? まだ早いですよ それに一回も会ったことのない人と結婚しろだなんて ちょっと 「何云ってんの! (背後から妙齢の女性を引っぱり出し) こんなに綺麗なコなのよ!」 あ どうもはじめまして 「はじめまして ではありません。 アナタと私は前世からの運命で再び出逢ったのです。 そう アレは三万年前。 アナタと私はアトランティスで初めて出逢ったの。 私は貴族の娘 アナタはみすぼらしい旅人。 二人は一目逢ったその日から惹かれあい 激しく愛し合ったのだわ」 お母さん このヒト 何を云ってるのかわからないよ 「バカなこと云うんじゃないの! このコは前年度のミス納豆巻きよ? それに三丁目の信用金庫の支店長さんの娘さんでお嬢様なのよ! アンタなんかには勿体ないじゃないのサ!」 でも お母さん 「次に私達が出逢ったのは群雄割拠のヨーロッパ。 アナタは名もない一兵卒 私は美貌の女将軍。 二人は出逢い 戦場の炎の中で熱く愛し合ったものだわ」 お母さん この人 目が虚ろだよ 何も視ちゃいない 「いいから 私ァ早く 孫の顔がみたいんだよ これ以上ツベコベ言っても聞く耳持たないよ! じゃあ私ァ帰るから二人でヨロシクやるんだネ」 あぁ お母さん お母さん この人連れて帰って下さい 「そして今 私とアナタは再び出逢ったのです。 この世界を救うべく。 光の戦士として」 【2】 お母さんが帰った後 彼女はずっと話し続けました。 ボクと彼女が初めて出逢ったとされる3万年前のアトランティスでの出来事から現在に至る過程を 事細かく 執拗に 話し続けるのです。 耳元で譫言のように話し続ける彼女のために寝ることも出来ません。 あぁ 空が白んできました。 朝です。 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン また玄関のチャイムが狂ったように鳴らされています。 や お母さんじゃないですか。 このヒトを連れ帰りに来たんですね 「あら あんた随分と目が赤いじゃない さては ふふふ。 お盛んな事ね」 お母さん そうじゃなくて 早く彼女を 「トコロでセシルさんはいるかしら?」 お母さん セシルさんって誰です 「お母様 おはようございます」 「あらセシルさん 今日はアナタに逢わせたいヒトがいるのよ」 お母さん このヒトがセシルさんなんですか? 話を聞いてください 「(背後から眼鏡を掛けマントを羽織った女性を引っぱり出し)ほら この方よ 覚えてるでしょ? オルフェさん。 なんでも枢密院の頃のお知り合いだそうで」 「ええ 覚えておりますわお母様。 お久しぶりね、オルフェさん。 えっと……何年ぶりかしら」 「120年ぶりよ セシルさん」 枢密院ってなんですか お母さん なんでこの女性はマントなんて羽織ってるんです それに120年ぶりって 「オルフェさんも 現世で光の戦士となる運命だそうなの。 だから一緒に暮らすといいわ」 お母さん なんて事云うんです このヒト共々連れて帰って下さい 「いい? アンタ オルフェさんと一緒に暮らすからって手を出しちゃダメよ。 手を出したら承知しないからね」 お母さん 話を聞いて ああ 帰らないで 「ではオルフェさん きたるべき終末に備えて一緒に頑張りましょう」 「はい セシルさん 終末に備えて」
彼女が手編んだというマフラーを頂戴してから一週間が過ぎました。 云うに及ばず バレンタインデーの日に頂戴したのでありますよ 残念な事に チョコは戴くこと できませんでしたが。 徒歩で寒い通勤の行き帰りは当然として 自宅にいるときもずっと付けっぱなしです。 マフラーからは彼女の匂い いつも彼女を身近に思う事ができます。 ああ だけれどもですよ いつも首に巻きっぱなしだから それだから マフラーから 彼女の匂い どんどん薄れていって このままじゃあ 彼女を感じること できなくなる。 どうしようか 考えて浮かんだ 良いアイデアは。 自宅 庭の物置の中 一週間前から隠してあるアレ 一晩マフラー巻きつけておいて 次の朝。 アレから外して首に巻きつけたマフラー ああ よかった 彼女の匂いがする また彼女を身近にかんじていられる 一晩 マフラーに染みついた彼女の屍匂が愛しい # by khem_mark | 2005-02-13 03:49
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