どつぷり首まで浸かつてしまい 僕は 何処にもいけません
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【1】 ピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポン 早朝5時だというのに玄関のチャイムが狂ったように鳴らされています。 眠い目を擦りながら玄関を開けます。 あぁ お母さんじゃあ ないですか おはようございます 「おはよう じゃないわよ 今日はアンタに大事な話があってきたんだから」 大事な話って何ですか こんな朝早くに 「アンタ そろそろいい年でしょ 結婚しなさい。 今日はね アンタには勿体ないくらいのお嬢さんを会わせようと思ってね」 何を云ってるんですお母さん 結婚ですって? まだ早いですよ それに一回も会ったことのない人と結婚しろだなんて ちょっと 「何云ってんの! (背後から妙齢の女性を引っぱり出し) こんなに綺麗なコなのよ!」 あ どうもはじめまして 「はじめまして ではありません。 アナタと私は前世からの運命で再び出逢ったのです。 そう アレは三万年前。 アナタと私はアトランティスで初めて出逢ったの。 私は貴族の娘 アナタはみすぼらしい旅人。 二人は一目逢ったその日から惹かれあい 激しく愛し合ったのだわ」 お母さん このヒト 何を云ってるのかわからないよ 「バカなこと云うんじゃないの! このコは前年度のミス納豆巻きよ? それに三丁目の信用金庫の支店長さんの娘さんでお嬢様なのよ! アンタなんかには勿体ないじゃないのサ!」 でも お母さん 「次に私達が出逢ったのは群雄割拠のヨーロッパ。 アナタは名もない一兵卒 私は美貌の女将軍。 二人は出逢い 戦場の炎の中で熱く愛し合ったものだわ」 お母さん この人 目が虚ろだよ 何も視ちゃいない 「いいから 私ァ早く 孫の顔がみたいんだよ これ以上ツベコベ言っても聞く耳持たないよ! じゃあ私ァ帰るから二人でヨロシクやるんだネ」 あぁ お母さん お母さん この人連れて帰って下さい 「そして今 私とアナタは再び出逢ったのです。 この世界を救うべく。 光の戦士として」 【2】 お母さんが帰った後 彼女はずっと話し続けました。 ボクと彼女が初めて出逢ったとされる3万年前のアトランティスでの出来事から現在に至る過程を 事細かく 執拗に 話し続けるのです。 耳元で譫言のように話し続ける彼女のために寝ることも出来ません。 あぁ 空が白んできました。 朝です。 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン また玄関のチャイムが狂ったように鳴らされています。 や お母さんじゃないですか。 このヒトを連れ帰りに来たんですね 「あら あんた随分と目が赤いじゃない さては ふふふ。 お盛んな事ね」 お母さん そうじゃなくて 早く彼女を 「トコロでセシルさんはいるかしら?」 お母さん セシルさんって誰です 「お母様 おはようございます」 「あらセシルさん 今日はアナタに逢わせたいヒトがいるのよ」 お母さん このヒトがセシルさんなんですか? 話を聞いてください 「(背後から眼鏡を掛けマントを羽織った女性を引っぱり出し)ほら この方よ 覚えてるでしょ? オルフェさん。 なんでも枢密院の頃のお知り合いだそうで」 「ええ 覚えておりますわお母様。 お久しぶりね、オルフェさん。 えっと……何年ぶりかしら」 「120年ぶりよ セシルさん」 枢密院ってなんですか お母さん なんでこの女性はマントなんて羽織ってるんです それに120年ぶりって 「オルフェさんも 現世で光の戦士となる運命だそうなの。 だから一緒に暮らすといいわ」 お母さん なんて事云うんです このヒト共々連れて帰って下さい 「いい? アンタ オルフェさんと一緒に暮らすからって手を出しちゃダメよ。 手を出したら承知しないからね」 お母さん 話を聞いて ああ 帰らないで 「ではオルフェさん きたるべき終末に備えて一緒に頑張りましょう」 「はい セシルさん 終末に備えて」
by khem_mark
| 2005-03-13 05:18
| 変
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Comments(3)
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